ハマケンは日本のJBである話

ハマケンは日本のJBである話

前回の続き。
昨夜の在日ファンク @ 原宿アストロホールを観て思った、
「ハマケンはある意味日本のJBである」ということの、
「ある意味」についての話です。
JB=ジェームズ・ブラウンね。言うまでもないですが。

まず、「ハマケンはJB」とかいう以前に、誰が観ても誰が聴いても
明らかなように、在日ファンクというバンドのコンセプト自体が、
「そのまんまJB」です。

バンドのサウンド・プロダクトも、音楽的方向性も、
ハマケンの歌も、ダンスなんかのパフォーマンスも、
「ウッ!」とか「ヴァーッ!」とか「ベイベ! カモーナ!」とか
いう雄たけびも、すべてそう。
もう、「影響を受けた」とか「取り入れた」とかいうレベルではない。
コピー、と言ってもいいくらい。

なので、そこを指して、ハマケンはJBだとか言っているわけではありません。

僕は、そんなにブラック・ミュージックに詳しいわけじゃないので
偉そうなことは言えないが、そう呼ばれる音楽を聴いていて、
ジェームズ・ブラウンからしか感じることができないなあ、
と思うポイントが、ひとつある。

つまり、オーティス・レディングにも、サム・クックにも、
スティーヴィー・ワンダーにも、スライ&ザ・ファミリーストーンにも、
ファンカデリックにも、アース・ウィンド&ファイアーにも、
このさいシックとかプリンスあたりまで入れてもいいが、
そういう偉大なブラック・ミュージックのアーティストたちのレコードには、ない。
JBのレコードにだけ、ある。
というポイントです。

それは何かというと、レコードを聴いていると、

これ、もしかして、ただ、調子にのったおっさんが
はしゃいでるだけなんじゃねえか?

と思ってしまう瞬間が、ある。
ということです。

人に演奏させといて、そこにのっかって、
「ヴァーッ!」とか「ホァーーッ!!」とか叫んで、騒いで、
盛り上がってるだけなんじゃねえの? という。

いや、違うのはわかってますよ? 
ポップ・ミュージックの歴史を語る時に絶対にはずせない、
本当に偉大なミュージシャンです、JB。
ビートルズやストーンズやThe Whoと、同じハコに入る人です。

っていうのは理解してるんだけど、ごくたまーに、
レコードが60分あるとしたらほんの6秒くらい、
「あれ? もしかしてこれ、おっさんがはしゃいでるだけ?」
と思わせる瞬間があるのです。
で、そう思わせる瞬間がある、というところが、私がJBを
すげえと思い、尊敬する理由のひとつだったりする。

そして。
そここそが、私が思う、「ハマケンはある意味JBである」の、「ある意味」なのです。

言うまでもなく、日本にも、JBの影響下にあるアーティストは、いっぱいいる。
マントショーを取り入れていた忌野清志郎。
同じように、「ラストの曲がなかなか終わらずに出たり入ったりしながら
何度も歌う」というJB式パフォーマンスを、ウルフルズ初期から
休止までやっていたトータス松本。
SUPER BUTTER DOGも、SCOOBIE DOも、要は「ファンク」という
音楽の要素が入っている人は、みんなそうだ、と言っていい。

ただ、そんなふうにいっぱいいるのに、JBのその
「調子にのったおっさんがはしゃいでるだけ」要素を感じさせる人は、いない。
と、私は思うのです。
だって清志郎、そう見える? 私には見えません、1秒も。
トータスも然り。SBDも、SCOOBIE DOも、やはりそうだ。

そこへ彗星のように現れた、おそらく日本で初めての、
「調子にのったおっさんがはしゃいでるだけ」テイストを、醸すことのできる男。
それがハマケンなのではないか。という話なのです。
「おっさん」はかわいそうだな。言い直します。
「調子にのったあんちゃんがはしゃいでるだけ」。
それがハマケン。

言っておきますが、これ、すんげえ誉めてます。
絶賛です、もう。
だって、あの偉大なる清志郎にも、日本を代表する
ボーカリストであるトータスにもできなかったことが、
できているわけなんだから、ハマケン。
ほんと、僕が思う、JBのあの感じを体現している
日本のアーティストを観たの、初めてです。
いや、先に書いたみたいに、海外にもいないんだから、
もしかしたら世界初かも。
マジですごいと思う、浜野謙太という男。

唯一、注文をつけるなら、声量はもうちょっと
あったほうがいいかな。
めちゃめちゃダンスしながら歌うせいで、スタンドマイクが
口から遠くなる瞬間が、昨日、何度もあったんだけど、
そのたびに歌がきこえなくなるのです、ハマケン。
そのさまも大笑いなんだけど。


なお、この、「JBってはしゃいでるだけに見える瞬間、ない?」
という話、前々から、いつかどこかで書きたいな、と思っていたんだけど、
書いた瞬間にその筋の熱心なファンとか専門家の方とかから
袋叩きにされそうなので、がまんしていたのでした。
でも、昨日のハマケンのあまりのすばらしさに激しくインスパイアされ、
つい、こうして書いてしまったのでした。


写真はJBのレコード。
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