「OK!!! C'MON CHABO!!!」  その2

「OK!!! C'MON CHABO!!!」  その2

仲井戸“CHABO”麗市リスペクトアルバム
『OK!!! C'MON CHABO!!!』全曲解説、その2です。
2曲目から。


2.ギブソン(CHABO'S BLUES)/ザ・クロマニヨンズ

RCサクセション、1988年のアルバム『MARVY』収録曲。
このバージョン、なんかもう、ただのクロマニヨンズ。
なのに、ただのチャボの曲。という趣。
つまり、最高だということです。

特に、マーシーのギターがすばらしい。
こういう、ひずみすぎて音が薄くなりかけてるみたいな、
なんというか、「おとなげない」ギターをギャンギャン弾くさまが、
「ああっ、マーシーだなあ」と、うれしくなります。
かっこええー。
あと、1カ所でマーシー、「ギブソーン!!」とあの声で叫ぶとこ、あります。
これも、えっれえかっこいい。

それから、ヒロトの歌、もちろん超かっこいいけど、後半でキーぎりぎりになる
あたりで、どんどん「歌」の範疇を超えて「唸り」みたいになっていくさまが、
特に素敵です。


3.うぐいす/斉藤和義

この曲も、キー高めっぽい。斉藤和義的には、ぎりぎりな高さなのでは。
チャボさんって、そもそもキー高いんだろうか。
なので、斉藤和義にしては、ちょっと声が細く、
なんかかわいい感じの歌いっぷりになっています。
まあ、元々、ずどーんと太い声の人じゃないけど。
切なくていい感じ。

そして、当然というか、この方もOTと同じく、全楽器をひとりでプレイ。
ただ、「全楽器プレイ」歴においてはOTよりも長いので、
実に堂に入った鳴りをしてます、どの楽器も。

で。この曲は、RCサクセションの、オリジナルとしては最後のアルバム
「BABY A GO GO」収録曲。1990年9月27日リリースです。
確か春日博文プロデュース。
思い出した。大学4年の秋だ。ロッキング・オンの入社試験で
東京に来た時、渋谷の街とかに、このアルバムの広告ボードが出てた。
で、京都に帰って、買って聴いた。

すごく好きでした、このアルバム。
音がデッドで(確か、当時レニー・クラビッツとかやってた
エンジニアに頼んだんじゃなかったっけ)。
シンプルで。
で、地味で。

そして、この「うぐいす」は、リリース時のジャパンのインタビューだったっけ、
渋谷陽一がやたら絶賛していたのを、憶えています。
「すごいなあこれ。現代詩じゃん、もう」と。
歌いだしのところ。

快復の午後に 時間をぶっつぶしてたら
手招きする空で 雲が急に光ったんで
新しい 奇跡の前ぶれ感じたのサ
うぐいす一声 鳴いたような気がする

ね。確かにすっごい、これ。
ポップ・ミュージックでこんな言葉を綴れる人、ほかにいないと思います。


4.ポスターカラー/TRICERATOPS

これは古井戸時代の曲。1972年のアルバム「オレンジ色のすけっち」に収録。
とりあえず、歌いだしで、まずびっくりする。
最初聴いた時、「えっ? 誰これ?」と、クレジットを見直してしまったくらい。
こんなに、声から狂気がにじむような歌を歌う人だったっけ。
和田唱って。
ちょっとすごい。背筋にきます。

あと、全編にわたってピアノがばんばん鳴っていて、それもやたらかっこいい。
いい感じにヨレてて、ホンキー・トンクっぽいというか。
誰に頼んだんだろう。と、クレジットを見たら、これも和田唱で、またびっくり。

TRICERATOPSって、実は「日本のZZ TOP」成分のあるバンドだと
僕は思っていて、なのでこの人は「ブギーの人」って印象を持っていたんだけど、
ブルーズの人でもあることが、これを聴くとわかります。

なお、さすがにこの曲は、齢42歳の私も、リアルタイムでは知りません。
当時、4歳だったので。あとで、さかのぼって聴きました。
この曲の歌詞も、パッと読むと、いかにも70年代の和製フォークっぽいけど、
ただし、よーく読むと「……いや、待てよ。なんだ、この言葉の並び方」とか、
「なんだ、この展開」とか「なんだ、この表現」みたいな、そんなエッジだらけです。
ということを、半年前に「MY R&R 仲井戸麗市 全詞集」を
作っている時に、読み返して、改めて思いました。


また次回に続く。
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