「ロマンチスト」の話

「ロマンチスト」の話

ロマンチスト
~THE STALIN・遠藤ミチロウ Tribute Album~
BVCL-148 3,059円(税込)Ariola Japan

12月1日リリース。
スターリンのトリビュート・アルバムです。

参加メンバーはこうです。
1 WAGDUG FUTURISTIC UNITY
2 黒猫チェルシー
3 銀杏BOYZ、
4 グループ魂
5 戸川純
6 フラワーカンパニーズ
7 AA=
8 BUCK-TICK
9 UA
10 MERRY
11 DIR EN GREY
12 YUKI

1、2、3、6、7、8は、「そうだろうなあ」というか、このコンピ以前に、
スターリンや遠藤ミチロウの影響を受けていることが、はっきりとわかる人たち。
10と11は一瞬意外な気がするが、よく考えたら全然意外じゃない人たち。
9、12は、まあ、意外と言っていいでしょう。
5は、「ま、まじですか!?」ですね。
ミチロウさんと同世代、ではないですが、同時代の方です。
残る4、グループ魂は、「力いっぱい影響下にいる人」と
「全然知らない人」が混在している例だと思います。

で。めちゃめちゃかっこええ、これ。
何がかっこええって、どのテイクも、「ただのスターリン」
「ただの遠藤ミチロウ」にしかきこえないのだ。
いや、KYONOは力いっぱいKYONOだし、峯田は思いっきり峯田だし、
鈴木圭介はもうノドから血が出そうなくらい鈴木圭介だし、
櫻井敦司はもうそのまんま櫻井敦司なのに、同時に、ものすごく「遠藤ミチロウ」なのです。
AA=とDIR EN GREYは、相当原曲を「壊してる」けど、それでもすんごい「ミチロウ感」するし。

特にすばらしいのは、黒猫チェルシー、大知の歌う「負け犬」と、
MERRY、ガラの歌う「オデッセイ・1985・SEX」。
かっこよすぎ。どっちも、スピーカーに向かって拍手したくなりました。

しかし。何なんだろう、この「その人そのままなのに遠藤ミチロウ感」。
私、原曲のほとんどを、リアルタイムで聴いていますが、そのせいではないと思う。
唯一「遠藤ミチロウ感」がないのは、グループ魂の港カヲルさんだけです。
破壊の歌は、ちゃんと「ミチロウ感」、出てます。

ただ、女性3人=戸川純・UA・YUKIに関しては、そうではありません。
「まんまみちろう」ではなく「単にその人の歌」になっている感じ。
曲の選び方のせいもあると思うけど(3曲とも静かめなのです)。
そこもおもしろいというか、素敵です。
これ、男性アーティスト盤と女性アーティスト盤、両方作ってもよかったかも、とか思いました。

とにかく、やってるのは今の人たちだけど、こんなすごい曲たちが
80年代にもうあったっていうことを、聴いて、ぜひ知っていただければと思います。


僕が初めてスターリンを聴いたのは、高校の時、NHK-FMの
「渋谷陽一のサウンドストリート」で、だった。
びっくりした。これがいったい何なのか、最初はわからなかった。
聴いてはいけないものを聴いてしまった気がした。

当時、僕が聴いていたいろんな日本のロックの中でも、これが最も
「一番過激なもの」
「一番文学的なもの」
「だから一番はまってはいけないもの」
「はまったら最後えらいところまで連れていかれるもの」だった。
と、僕は思っていた。
現に、同級生の久保田くんなど、はまりすぎて、ミチロウにモロに
影響を受けた詩をノートに書き連ねたりして(バンドもやってないのに)、
ちょっとヤバい感じになっていたのを憶えています。
そのあと更生しましたが。
久保田くん(マツダ勤務)、もう42歳ですが、このアルバムを聴いたら、絶対興奮すると思う。
万が一これを読んでいたら聴くように。
万にひとつも読んでいないと思うが。


ひとつだけ、このアルバムに関して気に入らないこと。
日本マドンナに声をかけなかったことです。
って、知名度とかを考えたらしょうがないんだけど、でもこれ、
1年後だったら声かかってたろうになあ。惜しいなあ。と思います。
遠藤みちろうの還暦を祝って、今年リリースされる作品なので、
しょうがないんですが。


なお、遠藤ミチロウ、COUNTDOWN JAPAN 10/11、
12月28日に出演です。
COSMO STAGE、16:00から。
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