不思議な男、ジェームス・イハ

不思議な男、ジェームス・イハ

長いブランクを経てリリースしたソロ第2作が好評を博し、大喝采でステージに迎えられたイハの 一曲目は、あのソロ・デビュー作の曲だった。控え目なエレクトロニック・サウンドが加味されたセカンド作も基本的には同じだけれど、やはりジェームス・イハ登場の柔らかな衝撃はみんなの記憶に刷り込まれていて、本人もそのことをよく理解しているのだろう。

スマパンのギタリストではなく、信じられないほどピュアなメロディと言葉で紡がれた、箱庭のようなイハ個人の世界。流行にも、バンドの指向性にさえ左右されない個人がそこにはあって、我々はそれを瞬時に理解し、そして彼の歌を愛した。

年輪を重ねたぶん、楽曲の味わいは広がったけれど、ぼそぼそと挨拶するイハはとてもシャイだった。繊細な、しかし絶対的な個人があった。それを描き出すことができるような優れたアーティストは、決して多くはないのだ。(小池宏和)
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