今晩は、坂本真綾のライブ「in the silence」へ。
これがちょっと変わった趣旨のライブで、彼女がこの10年にリリースしてきた３枚のコンセプトアルバムを発表順に、曲順もそのまんま演奏してしまうというもの。
つまり、開演前から思いきりセットリストがわかっているライブというわけで、聴き手としてもあまりの体験のないステージだった。
ただ、結論からいうととにかく素晴らしいライブだった。

それぞれの作品を通して彼女が描こうとした物語がヒビッドに再現され、ライブを観ながらにして、三編の短編小説を読んでいるかのような不思議な感覚があった。
結末を知っている小説に感動できないかというともちろんそんなことはなく、むしろ物語の流れをすべてわかっているがゆえに言葉のひとつひとつが明確に入ってくる感じ。
だから、ライブでありながら、彼女の朗読会でもあるような、とても贅沢な時間だった。
確固たるスキル、表現力、咀嚼力、それとコミュニケーション能力とさっぱりとした人柄。
ありとあらゆる実力と魅力を見せてもらった気がした。

今年は春からアルバム、ツアーと続き、秋にはシングルを連発、そして今回のライブと濃厚な一年を過ごした彼女。
ＣＵＴでも何度も取材させてもらった。
2012年もまたたくさんのトピックを期待したい。
またたくさんインタビューさせてもらいたい。

写真はおみやげの靴下。
片方ですが、そういうものだそうです。（小柳）