ザ・ビートルズが1968年にインドでマハリシ・マヘシュ・ヨギから超越瞑想の教えを受けるため滞在した道場が、観光施設として一般に公開されることになった。
道場はリシュケシュというガンジス川のほとりの町の近郊にあり、ラジャジ国立公園の敷地の中に設立されていたが、70年代にマハリシがこの道場を放棄したため、その後はすっかり森林に敷地がおおわれてしまうことになった。しかし、今回敷地を整備し、ジョン・レノンの歿後35年を記念して12月9日に一般公開された。敷地内では遊歩道や庭園も整備されていて、公園一帯を管理しているカーティ監督官は次のように語っている。
「この道場を維持し、もともとあった形の魅力を保存していきたいと思っています。近いうちにはヨガ・センターを設置する予定にもなっています。すっかり一新されたこの道場によって、この地域の観光ブームを呼び込めればと期待しています」
また、公園の森林管理官であるラジェンドラ・ノーティヤルは自然観察を目的としたトレッキング・ルートやバード・ウォッチング用のトレッキング・ルートの敷設を計画していて、いずれはカフェテリアやお土産店なども開設することになるが、あくまでも道場のもともとのひなびた雰囲気は壊さないようにしたいとも語っている。
なお、道場施設への入場料はインド国民については150ルピー(約275円)、外国人旅行客については700ルピー(約1280円)になるという。
ビートルズは家族や友人らを含めた大所帯で1968年の2月にこの道場を訪れたが、リンゴ・スターと妻モーリーンは10日間で音を上げて帰国し、5週間後にポールは当時の交際相手のジェーン・アッシャーとともに帰国。その2週間後にジョージ・ハリスンとジョン・レノンも帰国の途に就いた。帰国後にビートルズはマハリシに傾倒したことは間違っていたと発表したが、滞在中にアルバム『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』の内容となる多数の楽曲を書き上げることにもなった。