今週のRO69ニュースROUND UP:直前企画 今年のフジロック&サマーソニック、必見ニューカマーは彼らだ!

今週のRO69ニュースROUND UP:直前企画 今年のフジロック&サマーソニック、必見ニューカマーは彼らだ!

いよいよ明日から始まるフジロック、そして8月のサマーソニックと、今年も怒濤の夏フェス・シーズンが始まろうとしていますが、楽しくも悩ましいのが限られた己の時間と体力をやりくりしてどのアクトを観るか、どれだけ観られるかということ。

ここではフェスの醍醐味でもある新たな音楽との出会いという意味で、ニューカマーや新世代を中心に、ぜひチェックしてほしいアクトをラインナップしてみた。最後の予習にぜひ!

まずは直前も直前のフジロック。今年のフジは、何と言っても「ロック・フェスらしいロック・フェス」なのが特徴だ。フー・ファイターズ、ミューズ、ノエル・ギャラガーとヘッドライナーを全てロック・アクトが占めたのも久しぶりだし、ホワイト・ステージにはUK新世代のトップランナー、ロイヤル・ブラッドが抜擢された。そんな年だからこそ、ニューカマーもストレートに熱いロック・アクトを中心にご紹介したい。

こういうライヴ映像を観ると、ロイヤル・ブラッドはミューズの遺伝子も確実に受け継いでいて頼もしい!
Royal Blood “Figure It Out” (BRIT Awards 2015)

まずは初日24日のレッド・マーキーに登場するザ・ディストリクツ。名門ファット・ポッサムから世界デビュー盤『ア・フローリッシュ・アンド・ア・スポイル』を今年3月にリリース、クラウド・ナッシングスやセイント・ヴィンセントを手掛けたジョン・コングルトンをプロデュースに迎え、まさに由緒正しきブルージーなオルタナ・ロックを鳴らしている。

メンバー全員ハタチそこそこと若い彼らだけれど、荒削りなギターの合間のふとした瞬間に現れる孤高の余白、寂寥の余韻が若さに似合わぬ色気を醸し出すのがたまらない。そんな彼らの魅力が良く分かるのがこの約20分のライヴ映像。ぽっちゃりナードな佇まいを軽く裏切っていく情感たっぷりの声もいい!

The Districts - Live In Philadelphia

続いて紹介するのは最終日26日のレッド・マーキーにエントリーしたザ・ボヒカズだ。彼らは既に昨年のHostess Club Weekenderで初来日を果たしているが、今回のフジが8月リリースのデビュー・アルバム『ザ・メイキング・オブ』の全貌を知る最初の機会になるはず。

彼らの魅力はいかにも2010年代ポスト・ロックンロール・リヴァイヴァルの簡潔スマートなフットワークと、オールドスクールで泥臭いロックンロール・バンドの両方のエンジンを搭載しているところ。こういうバンドは無論、ライヴに強い。ここではHCWのステージでも瞬時にアンセムと化した彼らの必殺チューン“XXX”を。

The Bohicas “XXX” (Hostess Club Weekender 2014/06)

そして新人ではないけれど、祝・ドレンジようやく初来日! 昨年の来日キャンセルは無念だったけれど、こうして新作『アンダートウ』を引っさげてのステージになったのだから結果オーライかも。思えばこの兄弟こそがロイヤル・ブラッドと共に「デュオ」という最小単位でロックの強度を再定義した立役者だったわけで、彼らとロイヤル・ブラッドのステージを観比べてみるのも興味深いと思う。ここではミニスカワンピ姿に突っ込んだら負けな昨年のレディングの映像を。

Drenge “Bloodsports” (Reading 2014)

続いてサマーソニック。今年のサマソニはフジとはまた傾向が違って、「2015年のポップ・ミュージックの縮図としてのサマー・フェス」だと言えそう。そしてもともとSONIC STAGEを中心に新人の青田買い的ブッキングには定評のあるサマソニだけに、今年もバラエティ豊かなニューカマーが勢揃いしている。ここでは初来日組に的を絞って何組かおすすめしたい。

まずは今年後半のUK新人レースの本命と言えそうなナッシング・バット・シーヴス。彼らの場合は、現時点で新人のポテンシャルうんぬんを語るタイミングをすっ飛ばし、既に「出来上がっている」のが凄い。アルト・ジェイ、レディオヘッドらと比較される緻密な構築ロックである反面、ストレートな興奮も剥き出しのまま迫ってくる、

ちなみにこの今年のワイト島フェスでのパフォーマンスなんかを観ると、最終的にはツェッペリン的なグルーヴを体得していくことになりそうで、出来上がっていると同時にまだまだ先も見据えた超新人でもあるのだ。秋のデビュー・アルバムを震えて待つべし。

Nothing But Thieves “Ban All The Music” (Isle of Wight Festival 2015)

そんな確信しかないNBTと対照的に、予感でしかないのがプリティ・ヴィシャス。16歳のメンバーを含む全員が10代と未知数&未完にも程がある彼らだけれども、ストライプスのように一瞬で予感を確信に変えていくのか否か、とにかくこういうバンドは観なきゃ始まらない!のである。

現時点で彼らの個性が一番分かるのは、ライヴ映像(なにしろこの人たち、ライヴ・デビュー自体が昨年12月で映像もあまりないのだ)よりこの“Cave Song”のMVだろう。「半径5メートルに見えているものが全て」な少年期の特権であるリリシズムが溢れ出している。

Pretty Vicious “Cave Song”

お次は東京初日のRAINBOW STAGEに登場するダーリア。日本デビュー・ミニ・アルバム『ペタルズ』でも明らかなように、彼らの基本はUKバンドには珍しいグランジな90Sサウンド。プラチナ・ブロンドにアイラインばっちりなフロントマンのネイサンを筆頭にそのオールドウェイヴな美学も彼らの個性だ。ただ、ダーリアは昨今の90年代リヴァイヴァルの流れで語ることが出来る一方で、その本質は実のところもっとシンプルで、優れたポップ・ソングを鳴らしたいってことなのだ。

昨年のこのライヴ映像でも一目瞭然、ノイジーでグランジなアンサンブルをスコーン!と突き抜けて駆け巡るキャッチーなメロディこそが彼らをアイデンティファイしている。

Darlia “Dear Diary” (Radio 1's Big Weekend 2014)

そして最後にご紹介するのは英ケント出身のパンク・デュオ、スレイヴス。デュオということでロイヤル・ブラッドとも比較される彼らだが、そのサウンドはもっとずっと悪趣味(褒めてます)。メタルのリフをやってみたり、ハードコアにがなってみたり、ブリットポップみたいなメロディをしれっと歌ってみたり、チャブ節前回のラップを乗せてみたり、やりたい放題で暑苦しいことこの上ないが、フェス空間では恐らく文句無しで盛り上がるはず。

上半身裸はデフォ、今年のグレート・エスケイプでのパフォーマンス映像をご覧あれ。
Slaves “The Hunter” (Vevo UK @ The Great Escape 2015)

あ、ウルフ・アリスはもう敢えて挙げなかったけれど、もちろん言うまでもなくマストです!(粉川しの)
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